丹精こめた、豊かな色が特徴の天然灰汁発酵建てで作る藍の染液

奈良県大和郡山市には、500年以上にも及ぶ藍染め文化の歴史があります。

今回は今なおその技術が確かに息づく、箱本館「紺屋」さんを取材させていただきました。

藍染めは、科学的に作られた「合成藍」と、藍植物を加工して作る「天然藍」とに大別され、日本ではタデアイの葉を発酵させて作る「蒅」が主に使われています。

紺屋さんでは、「蒅(すくも/阿波藍※徳島)」を使った天然灰汁醗酵建てによる

伝統的な藍染めを行っています。

手間ひまをかけて染めていく商品の美しさには、私自身、目を奪われました。

その背景にある、製造秘話をぜひご覧ください。

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半年以上寝かせる、1点ものの藍染ハンカチ

藍染めは、染液をつくる「藍建て」の工程と、染めを行う「藍染め」の工程が存在します。

【藍建て】

藍建ては、蒅、灰汁(あく)、貝灰、日本酒、小麦の皮のふすまを使い、1ヶ月ほどかけて行われます。

まず、蒅と灰汁(木灰にお湯を入れて一晩置いた上澄み液)、貝灰、日本酒を入れて踏みます。

その後、灰汁と貝灰を足し、ときどき撹拌しながら様子を見ます。

撹拌時、青や紫の泡が建ち始めたら、煮たふすまを灰汁と貝灰と一緒に入れさらに撹拌します。

そうして藍の染液が完成します。

「藍建ては生き物と同じ。使いすぎると藍の体力がなくなっていきますし、毎日面倒を見てあげないといけないんです」と稲丸さん。

日々のかき混ぜを絶やさず、アルカリ性を保つために灰汁や貝灰を加え、藍の栄養分としてふすまを与える。

そして温度が20~23℃に保たれるように常に管理をしているのだそうです。

この管理が天然灰汁醗酵建ての中で最も大変。

染めの工程は藍との相談になるので、大量生産はできず、1点1点が非常に希少な染物となるのです。

【藍染め】

藍染めには「夾纈(きょうけち)」「纐纈(こうけち)」「﨟纈(ろうけち)」という3種類の方法があり、それぞれで生み出せる柄が異なってきます。

・夾纈…布を挟むことで柄にする技法

・纐纈…布を糸でくくるなどして柄にする技法

・﨟纈…ろうぞめとも言い、蝋を使って自由な模様を描く技法

紺屋さんが今回販売する『藍﨟纈ハンカチ』は、﨟纈技法となります。

描かれる柄は、大和郡山市由来の金魚や、ハナミズキ、金魚椿、青海波など実に様々。

「大和郡山市の風景の中にある、身近なものを描くようにしています」と稲丸さん。

季節によっては花火になったり、桜になったりといろいろな構想がある様子でした。

﨟纈は、布を伸子(しんし)でピンと張り、そこに蝋で模様を描いていきます。

模様を描いたら灰汁に浸して、藍染液にゆっくりと沈めます。

優しく揺らしながら染め、またゆっくりと持ち上げます。

このときの色はやや黄色みがかった深い青緑。

このままシンクに貯めておいた水道水で水洗い。

鮮やかな淡い藍を纏った布が姿を現します。

その後、水気を切り、乾燥させます。

そうして乾いた後、また蝋で模様を描きたし、再度染めていきます。

この工程を1週間掛けて6回ほど繰り返し、染め上げます。

「染まった後は、藍の定着を促すため寝かせる必要があります」

藍の性質上、色移りなどを防ぐためには、半年~1年以上かかるとのこと。

このように希少性が非常に高いハンカチとなるため、完成までは、気長に待っていただけると嬉しいということでした。

※今回使用している商品の写真は、柄の一例です。洗濯時は漂白剤成分のある洗剤を使ってしまうと色が落ちやすいので、注意してください。

「紺屋」ではハンカチ、ハンダナ、ストール、ポーチなど様々なものを手掛けていらっしゃいます。

芸術を体系的に学んだ二人の女性スタッフが生み出すハンカチは、普段遣いでも、大人の満足度を高めてくれる商品です。

1点ものの商品となるため、質感や柄、風合いは、それぞれ異なります。

自分だけの一期一会をぜひ楽しんでください。

取材担当からのコメント

木村駿甫

藍染めの歴史が500年もあること、その製法の手間暇や、染液は生き物並の丁寧な管理が必要であることを知り、この世界の奥深さに感服した取材でした。
写真でも商品の良さは分かるかもしれませんが、実物の美しさはさらに驚くと思います。
自分へのご褒美として、ぜひ1つ手に入れてみてください。

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奈良県大和郡山市箱本館「紺屋」

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