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「一粒」のパンが運ぶ、人との縁や思いの連鎖
取材へ訪れると、浅田さんが温かく迎えてくれた。
この日用意していただいたのは、以下の4種類。
・イチジクとレーズンとクルミのリュスティック
・白パン
・フォカッチャ
・発酵のいらない生米のミニ食パン
「一粒」のパンは、実際どのように作られているのだろうか?
取材を通して、パン作りの工程や浅田さんの思いに直接触れてきた。
「一粒」のパンを食べたことがある人もない人も、ぜひその魅力を感じていただきたい。
***
安心を求めてたどり着いた素材と、思いが織りなすパン
「一粒」のパンは、時間も手間も惜しまずに一つ一つ丁寧に作られている。
「人と人を結ぶようなパンを作りたい」「子どもに安心しておいしいパンを食べさせてあげたい」。
浅田さんのやさしくも強い思いがなければ、決して生まれないパンばかりがお店に並ぶ。
小麦粉はもちろん、天然酵母や水などパンに使用する素材はすべて安全なものにこだわっている。
小麦粉は国産にこだわらず、無農薬で化学物質、遺伝子組み換えなしのオーストラリア産の安全なものを使用。
パンの食感を左右する天然酵母も、すべて無農薬の果物を使用した自家製、水は抗酸化作用のある素粒水を使用している。
ほかにも塩は天日塩、砂糖は黒糖や甜菜糖、油はオーガニックのココナッツオイルや菜種油を使うなど、できることはすべて取り組んでいるのだ。
例えば、フォカッチャにトッピングする野菜やチーズもそう。
浅田さん自らが畑で育てた無農薬野菜を主に使用したり、乳化剤やセルロースなどの添加物のないチーズを使用したり、食べる人のことを思って作っている。
手間のかかること、時間のかかることをするには、強い「思い」がないとできないし、できたとしても続かない。
手間暇をかけると、心も生活も豊かになる。
そういう丁寧な習慣も含めた浅田さんからのメッセージが伝わってくる。
「一粒」は浅田さんの思いで立ち上げられ、「一粒」のパンには浅田さんの願いや思いが込められている。
今後は、完全な自給自足を目指したいという浅田さん。
浅田さんを見ていると、思いは実現するのだと改めて思い知らされた。
混ぜてこねて焼く。安心・安全なパンの条件
ここからは、実際に「一粒」のパンを作る工程を少しご紹介させていただこう。
天然酵母は、市販のドライイーストとは違って生地の発酵に8時間ほどかかる。
そのため、取材の前日から一部のパン生地を用意してくれていた。
写真は、前日から準備してくださった一次発酵後のリュスティックの生地。
フランス語で「田舎の」という意味をもつ「リュスティック」は、素朴な見た目や味わいが特徴のパン。
「一粒」では季節に合わせた酵母を使用しており、この日のリュスティックにはニホンスモモの酵母を使用しているそうだ。
オーブンで二次発酵が終わるとハサミでザクザクと切り込みを入れ、焼きの工程へ進む。
リュスティックを焼いている間、小麦粉に天然酵母を加えて生地を練る作業も見せてもらった。
小麦粉に天然酵母と水を混ぜた後、こね台に移し生地をまとめる。
素早い手つきであっという間に生地がまとまっていく様子は見事である。
生米をそのまま使うお米のミニ食パンは、プレーン以外にも旬の野菜を使用して作ることもある。
取材当日は、新鮮な生の小松菜をそのまま入れた美しい緑色の食パンを作ってくれた。
野菜嫌いの子どもに、野菜を摂ってほしい気持ちから生まれたパンだ。
酸化しないよう、生のお米の粒をミキサーにかけてそのままパンに焼き上げている。
生米をそのまま使うことで、お米の甘みともちもち感が強く感じられる逸品だ。
季節によってカボチャを使うこともあり、それぞれの野菜による自然の色合いが美しい。
以下の写真にある4つも、生米のパン。
きれいなピンク色をしたものはビーツだけで色を出したもので、もちろん着色料は一切使用していない。
自然の力だけでここまでの美しさが出せることに、驚かされる。
天然酵母へのこだわり
「一粒」のパンに使われている自家製天然酵母が、ずらりと並んでいる。
酵母で起こす素材は、玄米や果物などすべて無農薬。
酵母菌は、果物の実よりも皮に多く存在しているそうだ。
そのため、「一粒」では果物を皮ごと使うため、農薬を使わずに育った自然のものを使用している。
無農薬の果物が手に入らなければ果物酵母は作らず、玄米酵母に切り替えるなど徹底しているのだ。
取材日には、自然の色合いが特徴の天然酵母がラインアップしていた。
写真左から、レーズン、ミカン、イチジク、イチゴ、米と麹、混ぜたイースト、スモモ、玄米の8種類。
インテリアのようにかわいらしく並ぶ天然酵母は、見た目とは違い、酵母の力強さがあるという。
天然酵母で焼いたパンは、日が経つとうま味が増すそうだ。
「一粒」のパンで健やかな毎日を
安全でおいしいパンを私たちに教えてくれる「一粒」。
食べる喜びや、健康のありがたさにも気づかせてくれる。
「一粒」のパンを食べるとさまざまな気付きがあるのは、つくり手である浅田さんの思いがあるから。
体によいものを食べると、舌はもちろん、体が喜ぶのがわかるはず。
ぜひ、「一粒」のパンを食べて健やかな日々を過ごしてみてほしい。
「一粒」のパンを蒸しておいしさを楽しむ
「一粒」のパンはそのままでもおいしいが、蒸し器で蒸すとふんわり感やもっちり感が楽しめる。
蒸し器がない場合は、写真のように、脚の付いた網などをフライパンに置いて水を張り、ふたをすれば蒸し器代わりになると浅田さんが教えてくれた。
蒸し器をお持ちでない方は、ぜひお試しあれ。
取材担当からのコメント
![](https://chiiki-yukari.com/wp-content/uploads/2023/10/プロフィール写真-150x150.jpg)
安心して子どもが食べられるパンを作りたい、人を結ぶようなパン作りをしたい、という「一粒」の浅田さん。とても穏やかな浅田さんですが、その思いは熱く強く伝わるのを感じます。
また、「一粒」の取材を通して改めて「食」の大切さに気付きました。忙しさを理由に、つい簡単に食べられる食品に頼りがちですが、手間と時間をかけて食事を作ることを忘れないようにしたいですね。できる限り、目で素材を確かめられるものを食べて健康でいたいと思います!
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兵庫県神崎郡福崎町一粒
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