シラス台地の恵みを受けた“つける味噌”

 

1年を通して温暖な気候の宮崎県。

その南西部に位置する三股町に、ニンニクやショウガを作って美味しい味噌に生み出した原田青果はある。

温暖な土地で難しいニンニク、ショウガにあえて挑み、そして世界中から愛される商品を作り上げたストーリーをご紹介しよう。

 

 

ショウガ、ニンニク作りに向かない土地での挑戦

 

原田青果の畑がある九州南部特有のシラス台地は、噴火によって発生した火砕流や火山灰が長い歳月をかけて積もった台地のことだ。原田青果のある宮崎県をはじめ、鹿児島県にも多い地質である。

本土で一般的な茶色や赤色の粘土質の土とは異なり、さらさらとした白砂の状態であるため、土自体は保水しづらい特性がある。そのため、かつては農作が難しく、乾燥に強いイモ類などが名産品であった。

しかし水路が整った現在では、日本有数の食品生産地へと変化を遂げている。
というのも、長い年月をかけて火山灰を母材とした“クロボク土”と呼ばれる土ができあがり、これには高い保水力とミネラル含有量があったのだ。

元来の恵まれた日差しに肥沃な土、そして水路を得たシラス台地の農業が発展しないわけがない。

 

原田青果は、何十年にもわたって宮崎県の三股町で農業を営みつつ、他の農家から買い取って全国へ発送するなど、宮崎ブランドを発信してきた。

そんな原田青果が自ら農作している作物がニンニクとショウガだ。
じつはこの2つ、ともに温暖な気候が苦手な作物で、実際日本全国での生産高が高いのは寒冷地である。

 

いくら恵まれた土壌を得たと言っても、作物自体の特性に反するのはリスクがあるし効率も悪い。

それでもこだわったのには、ある大失敗があった。

 

「20年くらい前、当時勤めていた会社で任せてもらったショウガ作りを、大失敗してしまったんです。何千万円にもなる損失を会社に与えてしまいました。当時、ショウガ作りを舐めていたんですよね。それまで経験していた他の作物の知識もあったので……。今では農作物のなかで1番難しい作物だと感じています」

そう語るのは原田青果の原田安則社長。

そこから研究に研究を重ねた。

ショウガの名産地である高知県に足しげく通って、どうしたら美味しいショウガがうまく育つのかを調査しようとしたのだ。

しかし、それで生計を立てている農家が、ライバルになりえる他者にそんな秘訣を教えるはずもなく、数え切れないほど門前払いされてきた。

 

それでも通い続け、少しずつ信頼を得ていくことができ、5年ほど経ったころ、ついにショウガの種を分けてもらえることとなった。

 

その種をシラス台地のクロボク土で育ててみると、高知県産のそれよりも辛みが際立ったショウガが育ったのだ。

高知県とは気候も土も異なるため、同じ種から作っても、できあがったショウガはまったく同じではなかった。

このピリッと辛いショウガを、温暖な宮崎県で安定して作り続けるため、試行錯誤を繰り返した。

化学肥料は一切不使用、有機肥料のみとしたことで、苦みや渋みもほとんどない現在の「宮崎県産・土佐一生姜」が完成した。

 

美味しいだけでは未来が続かない、厳しい現実を自ら打開

 

さぁ、物語はまだ続く。

 

辛さ際立つ美味しいショウガができたが、これをそのまま全国へ売り出していくだけでは、農業としての未来が厳しいことは、長年携わってきた経験から分かっていたからである。

次は、このショウガの美味しさをどのように広め、届けるかということである。

 

そこで着目したのが加工であった。当初はただの刻みショウガなども考えたが、もっと使いやすく、美味しさや楽しさが広がっていくものを検討。

そこで生まれたのが『生姜味噌』だ。

 

これが生まれる背景には、地元の農業や企業を守っていきたいという思いがあった。

ベースとなる味噌には、隣町となる都城市(みやこのじょうし)の早川しょうゆ味噌を使用している。

通常は委託生産しない早川しょうゆ味噌だったが、原田社長の熱意と人柄に共感し、味噌を提供してくれることとなった。

 

今回当サイトで紹介するのは、土佐一を使用した『生姜味噌』、そしてもう1つの農作物であるニンニクを使用した『大蒜味噌』だ。

 

それぞれ、刻んだショウガ、ニンニクが入っているのだが、試作段階で悩んだのはその刻むサイズ。

2ミリ程度から1センチくらいまで、さまざまな大きさにトライし、食感や風味などを確認していった。

社員の小学生のお子さんが試食して、辛すぎないかなども確認していったという。

 

そうして完成したのが、甘めの『生姜味噌』とピリ辛の『大蒜味噌』だ。

キャンプ好きの社員のアイデアで、パウチ包装とすることにした。

家庭だけでなくアウトドアでも持ちだしやすいし使いやすい。

防腐剤などの添加物は一切入っていないので、保存できる期間を延ばすのにもパウチは一役買っている(実際、品質の高さなどが認められ、国営機関に納品することが決定している)。

 

つけて食べる味噌ということで、どんな食べ方がおすすめか、原田社長に伺った。

「2商品とも豚肉との相性は抜群です。あとは餃子のタレとしてつけるのもおすすめですね。ショウガは魚とも合います。ニンニクはコチュジャンの辛みがあるので麺類に少し足しても美味しいですよ」

 

きゅうりなど野菜をディップさせるのはもちろん、食べ方は無限大だ。次はなににつけてみようかと考えるだけでお腹が空いてくるではないか。

 

取材担当からのコメント

いずたに

無類のショウガ好きとして、ショウガを作っている人に「ショウガ大好きです!」と直接伝えられたのだから、推しに大好きと伝えられた気分だった。ショウガの辛みや香りが大好きなので、クロボク土生まれのショウガ話なんて聞いているだけでヨダレものだった。オンライン取材となったので直接嗅ぐことは叶わなかったが、収穫の際に土から掘り返すとあのショウガの香りがブワッとするらしい……(恍惚)

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宮崎県北諸県郡三股町株式会社原田青果

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