地元の人も巻き込んで盛り上げる落花生の未来

代表取締役の加瀬宏行さんは、少し色素の薄い、茶色に緑を帯びたような美しい目をしている。

優しげな眼差しが印象的だ。

しかし、落花生や農家、子どもたちの話を始めるとその目はすごい熱量を帯び、瞳の奥からこちらをガッチリと掴んでくるようだった。

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始まりは「農家をなんとかしたい」

加瀬さんが代表取締役を務める株式会社セガワは、お祖父さんの代から続くお米の卸問屋だ。

現在もその事業は続いている。

加瀬さんは会社のなかでも加工事業に携わっていて、今回紹介する落花生の加工商品の数々を手掛けてきた人物だ。

自然の恵み豊かな千葉県旭市で育ち、東京で5年ほど暮らしたあと、23歳で旭市に戻ってきた。

「東京に出て、いかに今まで食べていたものがおいしいものだったのか、豊かな食生活のなかにいたのかを思い知ったんです」。

現在も人との出会いが豊かな場所として、東京は好き。

でも暮らしや食べることを思うと旭市の方がいいという。

旭市はさまざまな農作物があり、畜産物もあり、海まですぐという立地。

何を食べても新鮮でおいしい、知られざる美食エリアだ。

それなのに家業にかかわって気づいた、先行き不安な農家の未来。

株式会社セガワに入って加工業務を担うこととなり、自社や農家の改善点を考えた。

そのなかでまず生まれたのが、落花生のペーストだ。

それまで自社の加工落花生としてあったのは、殻付きの煎り落花生と落花生の甘露煮だけ。

需要はあるが、この先これだけでやっていくのは先細りだと考え、食卓で落花生を楽しめるようにペーストを開発した。

2015年、加工品ブランドとして「Bocchi(ボッチ)」を立ち上げ、さらに自分たちで落花生の畑を持って、栽培を始めた。

完全無農薬で。

※Bocchi提供。

減農薬ではなく農薬・化学肥料不使用栽培。

これはかなり大変だ。

というのも、落花生の栽培期間は半年たらずだが、そのかなりの割合を草むしりに要する。

しかし、「農薬がかかったものを自分だって触りたくないし、掘りとりを楽しみにしている子どもたちに触らせたくない」という思いで、農薬と化学肥料を使わない落花生栽培に踏み切った。

自分で土をさわることで、いかに農家さんが大変か、農薬の有無に限らず、すべての農家・農業の価値を改めてかみしめる経験となった。

そうして育った農薬と化学肥料を使わずに育てた落花生を使ったのが、当セットの『からつきゆで落花生』である。

※Bocchi提供。

“ゆで落花生”を、そもそもご存知だろうか。

関西出身の私は千葉に越して来るまで知らなかった。

そして初めて知ったとき、食べたときの衝撃と感動は忘れられない。

加瀬さんは言う。

「こんなに美味しい食べ方があるのに、知らない人が圧倒的に多い。でもこれは僕たち落花生屋さんの努力不足。だから、ゆで落花生を全国に広めたいんです」。

また瞳が輝いている。

勢いだけじゃない、たしかな自信がみなぎった瞳だ。

どこに出しても恥ずかしくないものを作り、その努力をしてきたからこそ、そのエネルギーが発せられていると感じた。

実際、「Bocchi」の『からつきゆで落花生』は都内の超有名レストランなどで料理に添えられ、世界中から訪れるグルメたちをうならせているという。

さらに加瀬さんは周囲を巻き込みながら地域や農家さんを盛り上げるべく、月に1度「Bocchiツキ市」というのを開催している。

毎月第3土曜日に、自社倉庫を解放してファーマーズマーケットのようなイベントを行っているのだ。

 

※Bocchi提供。

「Bocchi」商品や落花生の直売、千葉県内のさまざまなショップやカフェが出展する。

そして倉庫正面にある通称・どんぐりの森では子どもたちが自由に遊んでいる。

なんとも平和な光景だ。

さらに、『からつきゆで落花生』に使用している農薬・化学肥料不使用栽培の落花生の種まきや収穫の際は、一般参加が可能。

土に触れ、食べ物をつくる・いただく気持ちを、年齢問わず誰もが体感できる機会を提供している。

※Bocchi提供。

これは加瀬さんの幼少期、夏休みに父に連れられて手伝った農家さんの作業風景が、大人になって大切な基盤となっていることにも由来する。

「いつか、これらの機会に参加した子どもたちが、その日のことを思い出してほしい。食のありがたさ、土にふれる楽しさを、人々の心に種まきしていきたい」という思いで。

 

ゆで落花生は、煎り落花生よりも少し早い時期に収穫し、24時間以内に塩茹でしなければ鮮度も味も悪くなる。

当然、収穫&24時間以内に茹でるとなると、製造量にも限界があるし、乾燥していないので日持ちがしない。

そこで「Bocchi」では、無農薬の落花生畑を工場のすぐ近くとし、収穫したらそのまますぐ作業に移れる体制をつくった。

また、塩茹でする際の塩は同じ千葉県の旭市産。

九十九里沖の海水による揚げ浜式製塩で作られたものだ。

この潮風にさらされて育った無農薬落花生なのだから、合わないはずがない。

※Bocchi提供。

これを、茹でたてのようなおいしさと鮮度を維持するためにレトルトパックに袋詰めして全国に流通させている。

今回のセットは当サイト限定の内容となっていて、『からつきゆで落花生』のほかに、『落花生パウダー』と『畑でとれたピーナッツのあんこ』が入っている。

『落花生パウダー』は焙煎した落花生をやや粗挽きのパウダー状にすりつぶしたもの。

パスタやサラダなどの料理にふりかけると、ふわりとした香りとコクが楽しめる。

アイスやジェラートにかけるのもおすすめ。

※Bocchi提供。

『畑でとれたピーナッツのあんこ』は、甘露煮用として創業時から継ぎ足してきた秘伝の蜜に渋皮ごと漬け込まれていて、落花生のうま味が生きている。

試作過程で時間短縮のためにした“渋皮入り・裏ごしなし”の方がうま味と滑らかな舌触りが良いことが分かった、奇跡の一品でもある。

※Bocchi提供。

カロリーはピーナッツペーストの半分くらいで甘さも控えめ。

トーストとの相性も抜群なので、ぜひたっぷりと載せてご賞味あれ。

取材担当からのコメント

いずたに

「Bocchi」の商品、農家に対する熱量に圧倒されました。そしてこの人たちが半端なものを作ることはないということも確信。取材前、ツキ市に遊びに行っておいしい楽しい時間を過ごしました。私は落花生パウダーをラーメンにかけるのが好きです。ゆで落花生は農薬を使わず大切に育てられているし、そのほかの商品も添加物なしで素材のおいしさにこだわっているので、安心して家族に味わってもらえます。

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千葉県旭市株式会社セガワ

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