規格外の野菜を有効活用した、エシカルな地産ピクルス

日本全国の中でも、農業が盛んな栃木県。

「農林水産省 令和3年農業総産出額【令和4年12月27日公表分】」によると農業生産額は全国9位。

たくさんの新鮮野菜が採れる一方で、農家さんを悩ませているのは、販売できない規格外の野菜たちの存在。

見た目が少し小さかったり、裂けたり、割れたりしているというだけで、何トンという単位で廃棄せざるを得ない、というのが現状です。

そんな農家さんの状況を知り、「野菜と農家さんの助けになりたい」と規格外野菜を使った商品の開発に乗り出したのが、「Cooking&Glow」代表の金原さん。

廃棄されるはずだった野菜に新たな付加価値をつけて、「宮ぴくるす」を生み出しました。

具材によって酸味や甘味、風味に至るまで緻密に計算された、この「宮ぴくるす」。

混ぜご飯にぴったりの和風味や、うずらの卵などもあり、「ピクルスって何て奥深いの…!」と、バリエーションの多さに感動。

食への探究心を「これでもか!」と刺激してくれる商品なのです。

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規格外の野菜も手間をかければおいしく変身できる!「ピクルス」が教えてくれた、無限の可能性

『宮ぴくるす』の製造拠点「Cooking&Glow」がある、宇都宮市中島町。

作業場の周りは農地が広がっているが、ほんの5分歩いた先には大型量販店やデパートが立ち並ぶという、栃木らしい風景が広がる地域だ。

ここで地産ピクルスブランド『宮ぴくるす』の開発・製造・販売を行うメンバーは、総勢19人。

就労支援A型事業所も開設し、障害や難病のある方の就労支援も行っている。

『宮ぴくるす』を作り始めたばかりの頃は、規格外の野菜を提供してくれる農家さん探しの奔走。

しかし、東京ビッグサイトで開催された「アグリフードEXPO東京」に参加して以降、そこで知り合えた農家さんから「販売できない野菜をピクルスにしてもらえないか?」という相談を受けるようになったそう。

取材日も、新規取引のしいたけ農家さんから、芽かきのシイタケが搬入されて、作業場の雰囲気が一気に活気付く。

マッシュルームのような、傘が小さいシイタケを見て、スタッフからは「かわいい!」の声。

シイタケはすでに1か所取引している企業があり、そこの商品は醤油漬けで販売しているから、こちらの農家さんの芽かきシイタケは「アヒージョ風」にする予定だとか。

ピクルスでアヒージョの味わいができるとは!

ピクルスの可能性の幅広さに驚く。

現在販売する『宮ぴくるす』は、全19種類。

廃棄予定だった野菜やフルーツを使用したもののほか、うずらの卵や粒マスタードなど、「これもピクルスになるの!?」と、衝撃を受けるものも。

「そのままで食べるのはもちろんおすすめだけど、調味料としても使えるの」と金原さん。

『かんぴょうと根菜のぴくるす』は、2合のご飯に醤油ベースのピクルス液ごと全部入れれば、簡単ちらし寿司に。

『大豆のぴくるす』も、味が付いてないめかぶに入れて食べたり、納豆に入れて食べたり。使い方は自由自在なのだそう。

「お客さまからおいしい食べ方を教えてもらうこともあって、いろいろな楽しみ方があるピクルスって『本当にすごい!』って、私が感動してます」と笑顔の金原さん。

お客さんの「おいしかった話」を耳にするたび、ピクルスを作っていて良かったと、実感するそうだ。

この、感動を生むピクルス。

細部への配慮と品質管理の徹底ぶりがものすごい。

使うのは、採れたての新鮮野菜。

形は不ぞろい、不恰好なものだが、味はまったく劣らない。

それを、キレイにていねいに洗浄。

生で使用するキュウリやパプリカは、厚生労働省のマニュアルに示させている通り、次亜塩素酸ナトリウム水で消毒・殺菌。

ダイコンやニンジンなどの根菜類は、さっと茹でて、加熱殺菌を行う。

洗浄・殺菌した野菜は、同じ大きさにカット。

野菜を切るまな板の裏側には大小の“◯”が書かれており、その“◯”のサイズに合わせて野菜を切る。

「スタッフの誰が作業をしても同じサイズになるように」と考えられたひと工夫だ。

この“◯”のおかげで、商品の統一性が保たれる。

瓶に詰める野菜のグラム数やピンクペッパーの入れる粒数も、同一商品は同じ内容になるように、レシピ作りを徹底。

瓶に詰める際には、同じ野菜が重ならないよう、彩りのバランス・入れる個数を考えながら、ひと瓶ずつ手作業で詰める。

野菜を入れたら、次はピクルス液を注入。

ピクルス液に使う酢は、天明元年創業の北関東唯一の酢蔵「中野嘉兵衛商店」で作られる、天然醸造もろみ酢。

アミノ酸たっぷりの酢で作るピクルス液は、スタンダードな洋風、しょう油ベースの和風、はちみつを加えたスイートなど。

食材に合わせた味付けで、商品によって液の味わいはすべて異なる。

瓶詰めが完了したら、最後は加熱殺菌。

75度〜85度の間で、それぞれの商品に適した温度で数分間加熱。

この加熱の温度の加減が、商品開発で一番大変だったところ。

食感が残るギリギリのラインで仕上げるのに、何度も試行錯誤を繰り返したそうだ。

ひとケース100本の中、一本に温度計を指し、中心温度を計測。

その100本の品質管理のため、1本は必ず作った日付のシールを貼って、一年間保管を行う。

OEM生産(受託生産)を請け負う企業からも、この品質管理の徹底ぶりは賞賛されるそうだ。

どんなに小さな工程でも、安心・安全のためにきちんと手順を踏むことを大切にする。

「全国に広げていくものだから、安心・安全は絶対。小さい会社でもきちんとやろう」と、スタッフと意識を共有していると教えてくれた。

 

約4千年前から存在していたと言われる、歴史のある保存食「ピクルス」。

「西洋の漬物」という概念に留まらず、和の魅力を付け足してさまざまなバリエーションを誕生させる「Cooking&Glow」の発想力は、まだまだ進化の真っ只中。

欧米の歴史ある食品と日本の食文化の融合を、ぜひご堪能ください。

取材担当からのコメント

三輪英里子

素材に合わせてピクルス液の味わいを細かく調整したり、新しい味わいにチャレンジしたりと商品開発への並々ならぬ努力と、その作っている過程を楽しむ姿に感動しました!
この「宮ぴくるす」は、ピクルスを「酸っぱい漬物でしょ」と思っている人にこそ味わっていただきたい商品。新しい食の扉が開けますよ。

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栃木県宇都宮市株式会社Cooking&Glow

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