地元の“赤い宝石”を美味しいシロップに!

世界遺産、熊野古道。

ここに、ママ友とタッグを組んで地元の果実を美しいシロップに変身させた女性がいる。

商品開発などしたことがない主婦たちによる挑戦と、人と人の繋がりがなしえた『熊野やまももシロップ』開発秘話をお届けしよう。

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子どもの未来を人とのつながりで開拓

熊野古道の玄関口として知られる「口熊野(くちくまの)」がある和歌山県上富田町(かみとんだちょう)には、“赤い宝石”と呼ばれる小さな果実のなる木がある。

おいしく食べられるのは、6月中旬から7月上旬あたりのわずかな期間というその木の正体は、町の町木にも指定されている“やまもも”だ。

やまももは山に自生しているし、街路樹や庭の木としても親しまれており、特段珍しい木ではない。

そのせいか地元の住民は“あるのが当たり前”となっていた。

そんなやまももに注目したのが、今回ご紹介する『熊野やまももシロップ』を企画して販売している「Kumano Berry」の樫木美喜恵さんだ。

元々和歌山県出身だが、結婚して上富田町にやってきた樫木さんは、2人のお子さんがいる。

同じ幼稚園や小学校に通った子どもがいるママ友たちと話しているうちに、子どもたちや上富田町のためにできることはないかと思い巡らせるようになった。

とはいえ、これまで誰もそんなことをしてきた経験もないので、すべてが手探りだった。

“和歌山だから。上富田町だから”というものを生かしたいと考えていた時に、思いついたのがやまもも。

町木であるやまももは、すでに名産となっている梅やミカンともかぶらない。

そこで、お祭りなどのイベントでやまももを使ってジャムを作るなどワークショップを開いてみたら大盛況。

少しずつ回を重ね、次第にやまももの商品化を夢見るようになった。

とはいえ、これまた初めてのことで、右も左も分からない。

梅やミカンとちがって、やまもも農家というのもないため、どのように仕入れたらよいのかも分からなかった。

しかしそこは田舎ならではの繋がりで望みがつながった。

同じように町おこしに賛同してくれた人や、人と人のつながりで、少しずつ形が見えてきたのである。

「やまももを農業としている人は皆無だが、ミカン畑の端や町民の家の軒先に植わっていて、彼らが自分の家で食べたりする程度に生っているんです。それを分けてもらって始めました(樫木さん)」

そうしてやまももを仕入れたり、上富田町近隣の町で余っていると聞けば買い取りに走ったりしたという。

甘酸っぱさを残しつつ、使いやすい甘さのシロップが完成!

このようにして手に入れていったやまももだが、1粒の大きさはラズベリーほどのサイズ。

商品化のための試作品を作るのにも、決してどんどん使って試して、というのを繰り返せるほど潤沢な量はなく、試作は慎重に作業を重ねていった。

2019年。

そうしてできあがったのが、『熊野やまももシロップ』だ。

完成までに1年を要したという。

「やまもも自体は甘酸っぱい果実です。イチゴほど甘くなく、ラズベリーほど渋くない。適度に熟したやまももの甘酸っぱさを残しつつ、食卓に使いやすい甘さに調整しました(樫木さん)」

複数の品種をブレンドした赤くて甘い、美しいやまもものシロップは、子どもたちにも好評だと言う。

デザートはもちろん、料理にも使えるような味わいにしたのは、樫木さん率いる「Kumano Berry」の主婦の知恵というところか。

実際、「Kumano Berry」のホームページにはおいしそうなレシピが載っていて真似したくなる。

とくに、その赤い色合いを生かしてほんのりピンク色にしたお寿司などは見た目にも美しい。

やまもものこの真っ赤な色合いは、アントシアニンなどのポリフェノールによるもの。

そしてやまももの甘味成分はブドウ糖が多いため、やまももはエネルギーとなり、疲労回復にも効果的な果実なのだ。

「地元のおじいちゃんやおばあちゃんは、小さい頃から山で遊びながら摘まんで食べていたみたいですよ(樫木さん)」

というくらいなので、野山を駆け巡る子どもたちの小腹にもよかったのだろう。

農家の畑の端にも植えてあるのは、ちょっとした休憩に摘まんでいるのかもしれない。

現在は「口熊野かみとんだ山桃会」として「Kumano Berry」を運営しつつ、地域とのつながりを大切にしながら、口熊野かみとんだ観光案内所の運営や子育て世代を応援する取り組み、イベントの開催なども行っている。

子どものため、地域のために行動し、実現させた「熊野やまももシロップ」は、年々人気が上昇中。

これからますます躍進するにちがいない。

取材担当からのコメント

いずたに

Kumano Berryは地元や子どもたちの未来をより豊かにしたいという思いでスタートし、地域のいろんな人たちと一緒に作り上げていったブランドです。私も和歌山で生まれ育ったので、次の帰省では熊野口に足を運びたいと思います!

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和歌山県西牟婁郡上富田町Kumano Berry

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