筑波山名産『福来みかん』がさわやかに香る手作りの七味

個性豊かな七味の世界。

一口に七味と言っても、混ぜ合わせる材料や辛味の強さ、そして香りなど、さまざまな七味があります。

かつては家庭で作られていたという七味。

地域の特色や家族の味の好みなど、七味にはさまざまな歴史やストーリーもあるようです。

『みよこの七味』は、筑波山に古くから自生する『福来みかん』の陳皮が入っているのが一番の特徴。

さっと振りかけたその瞬間に、あたりにふわっと広がる『福来みかん』独特の爽やかな香りは感動級!

この七味が商品になるまでのエピソードとともに、店主・みよこさんのお土産物に込める想いをご紹介します。

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筑波山に古くから自生していた福来みかん

福が来るという名を持つ、なんとも縁起の良い『福来(ふくれ)みかん』。

筑波山の名産品として栽培されていますが、もともとはこの辺りに自生していたもので、今も家庭の庭木として育てられているところも多くあります。

一般的なみかんとして流通している温州みかんとは種類が異なり、柑橘類の中で唯一日本原産の橘(たちばな)の一種だと言われています。

古事記にある不老不死の実は橘の実を指すという説もあり、そうすると筑波山には不老不死の実があったとも考えられます。

実際に、陳皮(みかんの皮を乾燥させた生薬)には、消化促進や風邪症状の改善、冷え性、腰痛など、さまざまな薬効があるとされているので、あながち伝説とは言い切れないかもしれません。

つくばの食文化を語る上でも欠かせない福来みかんの七味

福来みかんの大きさは、直径3〜4cmほど。

皮をむくと、部屋いっぱいにスッキリとした柑橘系の爽やかさが広がります。

食べると酸味も甘みもあり、爽やかな味わいが口の中に広がり、庭木として好まれていた理由もよくわかります。

この辺りでは実を食べた後の皮を干して乾かし、陳皮として家庭料理のアクセントとして使っていたそうです。

その代表格が七味で、この辺りでは「七色(なないろ)」とも呼ばれています。

ちなみに七色とは複数の材料が使われているという意味で、必ず7種類の材料が使われているというわけではないそう。

それぞれの家庭で6種類以下だったり、8種類以上だったり、好みに合わせてオリジナルの七味が作られていました。

「みよこの七味」誕生のきっかけ

「みよこの七味」も、もとは家庭の七味です。

みよこさんが嫁いだ先でお姑さんに習った七味が、その始まり。

土産物店を営む傍ら、季節の手仕事として作っていた七味をお客さんにサービスで提供していたことが、『みよこの七味』誕生のきっかけとなりました。

筑波山を訪れた人が『福来みかん』の七味を食べると、多くがその香りにびっくりするといいます。

「まるで香りを食べているかのよう」と言った人もいるとか。

そしてこの香りの虜になったお客さんから、「ぜひ売ってほしい」という声があがるようになり、土産物としての『みよこの七味』が誕生しました。

秋から一気に収穫し、陳皮作り

みよこさんの自宅には、約100本の福来みかんの木があるそうです。

収穫時期は10月下旬〜11月末にかけての1.5ヶ月ほど。

お姑さんから教わった作業を、今では嫁の由美さんと一緒に行っています。

刈り取った『福来みかん』はすぐに皮をむき、天日で干していきます。

すぐに乾燥の作業に入らなくてはならないのでこの時期は大忙し。

『福来みかん』の皮は、乾くと香りが一旦落ち着きます。

それから焙煎し、さらにカラカラに。

ミキサーで粉状にすると再び香りが立って、『福来みかん』の陳皮の出来上がりです。

また、秋は筑波山を訪れる人が増える観光の季節でもあります。

清々しい秋晴れの日は特に、登山や筑波山神社の参拝客で土産物店も書き入れ時。

年末までは陳皮作りの作業が続き、年始は神社への参拝客が訪れるので、しばらくは休まる暇がないそうです。

つくばのすばらしい食文化を土産物を通して広めたい

『みよこの七味』は、袋詰めの直前に、唐辛子に福来みかん陳皮、青のり、金ごま、黒ごま、白ごま、そしてみよこさんの愛情が混ぜ合わされ、ようやく完成します。

現在販売しているのは、スタンダードな『みよこの七味』、唐辛子を多めにした『みよこの七味 辛いバージョン』、福来みかん陳皮を多めにした『みよこの七味 香るバージョン』の3種類。

『みよこの七味』を使用した煎餅などの商品も開発し、店頭で販売しています。

また、料理との相性もよく、互いを引き立て合うという特徴もあります。

おすすめのメニューをあげるとキリがないほどで、たとえば漬物や納豆、おにぎり、パスタ、煮物など。

荒く切ったきゅうりや、サバ缶にかければ、それだけでおかずの一品にもなるそうです。

店頭では梅茶にサッと振りかけて試食を出していて、出汁や汁物にもよく合います。

みよこさんは土産物店を営む上で、地元つくばの名産品を大切にしたいという思いを常々持っていたといいます。

「ここでとれたものを使って、ここで作ってこそ、本当の土産物」。

この思いを持ち続け、これからもつくばのよさを土産物を通して広めていきたいと話してくれました。

 

取材担当からのコメント

北織麻美

私も七味入り梅茶の試食をいただいて、その香りの高さにびっくりしました。温かい梅茶に唐辛子の辛さと福来みかんの爽やかさが加わって、スッキリしつつも唐辛子のカプサイシン効果で体がポカポカに。昔の人はみかんの皮も捨てずにこうして利用していたんですね。しかもおいしくて健康にもいいとは。地域に伝わる食文化の大切さも実感しました。

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茨城県つくば市神橋亭

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